恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
狼に姿を変えた俺が真正面から見据えると、瀬里は眩しそうに、それでいて神々しいなにかを見るように俺を見つめた。

驚きつつも、僅かに憧れを含んだ眼差し。

そしてその瞳が俺の勘違いじゃなかったと知ったとき、俺は瀬里をもっと知りたかったのかもしれない。

そんな瀬里と、桜花が重なる。

人狼だと知りつつ俺を好きだといった瀬里と、凰狼のために身を投げ出した桜花。

瀬里を毒で殺そうとする凰狼が、心底憎い。

だが、凰狼を殺す俺を、瀬里はどう思うだろう。

そして、桜花は?

凰狼の死は、桜花の死でもある。

やつを殺すと桜花もまた、生きてはいけないだろう。

瀬里も、もし俺が死んだとしたら。
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