恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
「……」

「っ……」

するとなぜか翠狼が真っ赤な顔をしたから、私は驚いて口を開いた。

「……なに?」

「それに、あんなに柔らかいなんて……」

へ?

柔らかい……?

ボソッと呟いて、こちらを盗むように見た翠狼と、バチッと眼が合う。

「なにが柔らかいの?」

「えっ!」

更に翠狼は、真っ赤になって狼狽えた。

そうかと思えば私の身体をシゲシゲと眺め、なにかを振り払うかのようにブンブンと頭を振ったりガシガシ髪をかき回したりと、まるで落ち着きがない。
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