恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
●●●●●●
十日後。
「先輩、私ひとりで行くからいいよ」
今日は美術教室の日なんだ。
平静を装いながら私がそう言って先輩を見上げると、彼は訝しげに私を見下ろした。
「なんで」
なんでって、それはその……。
……今日、画を持って帰るんだよね。
あの、金賞を取った画。
「はっきり言え。なんでひとりで行くんだ」
先輩はそう言うと、唇を引き結んだ。
「それはその、夏休みの美術教室は、昼間だし、明るいし、翠狼はもう大丈夫だし、その」
長めの前髪から私を見つめる先輩の眼が、何だか鋭い。
十日後。
「先輩、私ひとりで行くからいいよ」
今日は美術教室の日なんだ。
平静を装いながら私がそう言って先輩を見上げると、彼は訝しげに私を見下ろした。
「なんで」
なんでって、それはその……。
……今日、画を持って帰るんだよね。
あの、金賞を取った画。
「はっきり言え。なんでひとりで行くんだ」
先輩はそう言うと、唇を引き結んだ。
「それはその、夏休みの美術教室は、昼間だし、明るいし、翠狼はもう大丈夫だし、その」
長めの前髪から私を見つめる先輩の眼が、何だか鋭い。