恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
嘘でしょ、ちょっと待って。

けれど誰も待ってはくれなくて、私はリビングのソファに座る人物を見るなり硬直した。

だって、雪野翔がそこに座ってたんだもの。

「瀬里さん、この度は突然の事ですまないね。心細い時はいつでも息子に頼ってくれたらいいから。聞くところによると、息子と同じ高校なんだって?なんなら、送り迎えをさせるよ。ほら翔、瀬里さんに挨拶しなさい」

私が蝋人形のように突っ立っているにも関わらず、雪野社長はニコニコと笑った。

一方、雪野翔は私に見向きもせず、ママに向かって、爽やかに笑った。

「娘さんは僕が送り迎えしますからご心配なく」

「あらー、頼もしいわぁ。どうぞ宜しくお願いします。瀬里もご挨拶なさい」

……なにが頼もしいのよ、危ないって思わないのっ?!
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