恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
けれどフワリと微笑んだ雪野翔は、どこからどう見ても好印象の王子様スマイルで、普段学校で見せる鋭く冷たい表情は微塵も出ていなかった。

なに、この笑顔。

絶対嘘よ、この笑顔は。

「北海道と言えば海鮮だな!まあ、高瀬も両足骨折は大変だけど命には別状ないし、見舞いに行ったらヘラヘラしてたから、一安心だな」

「そうね。命に別状なくて本当に良かったわ」

私の胸の内なんてまるで気づかず、大人三人はやたらと盛り上がっている。

そんな中、雪野翔がフッと私を見た。

ギクリとする私に、彼は私にしか見えない角度でニヤリと微笑んだ。

ひえっ!!

その顔はまるで、『逃がさないぜ』と言っているようで、私は背中に伝う冷や汗を感じながら、ただただ彼の整った顔を見つめるしかなかった。
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