恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
「ねえ、翔、聞いてるの?ちゃんとピアス見てよ」

雪野翔の隣の3年女子が不満げに声をあげた。

そうよ、見てやりなさいよ、ファンは大切にしないとバチが当たるよー。

旬とのデートに思いを馳せていた私は、心で雪野翔にまとわり付く3年女子の味方をしながらニマニマと笑った。

心で何言っても聞こえないもん、平気。

「ほら見てよぉ、ピアス」

見てるのかな、雪野翔は彼女のピアスを。

じゃあ……眼も合わないよね。

私はそう思いながらさりげなく眼を上げて、雪野翔を見た。

……うわっ!

し……失敗した……。
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