恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
てっきり三年女子の耳のピアスを見ているとばかり思っていた雪野翔が、なんとこっちを見ていて、私は思わず目を見開いて立ち止まった。

慣性の法則に従った私のスクバが、肩から滑り落ちる。

雪野翔は三年女子に見向きもせず、私を見つめた後、フッと視線を移動させた。

何故か彼は私を追い越して、後ろを見つめている。

……なに……?

思わず振り返った私は、そこに旬の背中を見つけて息を飲んだ。

見られてた……?

体の向きを変えた私を、再び雪野翔の瞳が捉えた。

長めの前髪の奥から、切れ長の眼がキラリと光った気がして、私はただただ彼を見つめた。
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