恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
「なんで?!」

気を遣ったつもりが、まさかのミス。

長めの前髪から覗く、不機嫌そうな黒い瞳が私を睨んだ。

「狼だ。間違えんな」

狼……?

「えっ!?犬じゃないの!?」

雪野先輩はグッと眼を細めて苛立ちをあらわにすると、再び私を見据えた。

「ごめんなさい、間違えて……」

あの祠にお供えされていたぬいぐるみがどう見ても犬だったから、先入観が働いちゃって、デカい犬だと思ってた。

そんなこと言うと、今度は確実に仕留められそうだったから、私は口をつぐんで雪野先輩を見つめた。

「お前さ」
< 88 / 305 >

この作品をシェア

pagetop