恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
フラフラと食堂を出て人通りの少なくなる北側に行くと、旬が食堂の壁にもたれてスマホを見ていた。

「……旬」

私の呼ぶ声に旬がフッと顔をあげる。

「瀬里」

スマホを胸ポケットへしまい、旬は両手をスボンのポケットに突っ込むと、私を見据えた。

「瀬里。アイツ……雪野先輩とどういう関係?」

やっぱり。

私は用意しておいた答えを返した。

「雪野先輩のお父さんは、パパの会社の社長なの。急にパパが北海道に赴任する事になって、ママも付いて行っちゃって、私だけだとこのご時世物騒だからって、雪野先輩が自宅によんでくれたの。パパ達が帰ってくるまで」

旬は眉をひそめた。
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