恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
「……忘れてきちゃった、デッサンの道具。ちょっと今から取りに帰ってくる」

「はあ?お前、何時だと思ってんの?」

そりゃ……午後七時ですよ。

でも明るいし、電車なら30分程で家に帰れる。

「明日、美術教室の日なんだ。だから、デッサンセットがどうしても要るの。大丈夫、電車で行けば」

言い終わる前にカランと響く金属音と、ガタンという音がした。

「来い」

「え」

●●●●●

五分後。

私は雪野家の駐車場で硬直した。

眼の前には、黒と赤のボディがなんともかっこいい一台のバイク。
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