恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
「やだ、怖い。私、電車で帰る」

私が頭をブンブン振って拒否すると、雪野先輩はあからさまにムッとして私を睨んだ。

「いいから乗れ!」

メットの奥の瞳がギラリと光る。

「だ、だって私、バイクなんて乗ったことないしっ」

狼狽え度マックスの私に、雪野先輩はバスッとメットをかぶせると再び口を開いた。

「早く乗れ」

「きゃああっ!」

怖いんだけど!

イライラを隠せない雪野先輩は、言うなり私の脇に両手を差し込んで軽々と持ち上げ、バイクの後方に乗せると自らもそれにまたがった。

「しっかり俺の腰に腕回してろ」
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