恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
「待ってっ、まだ心の準備が……!」

「うるせぇ!」

「きゃーっ!」

どうやったかは分からないんだけど、雪野先輩がバイクのエンジンをかけて、肩越しに私を振り返った。

「しっかりしがみついてろ!」

「ひゃああーっ!」

しっかりと暴走族確定だわ、怖すぎるっ!

けど……もう、雪野先輩に命を預けるしかない。

私はギュッと眼を閉じると、雪野先輩にしがみついた。

バイクが走り出した数分後、私は閉じていた眼を恐る恐る開けた。

やがて信号が赤になり、雪野先輩はゆっくりとバイクを止めた。
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