あなたがくれたもの
それから数日後、夏休みとは言え、社会人の照彦は仕事のはずなのに、陽菜を迎えに来た。
『陽菜、照彦さんが来たわよ』
「てっちゃん、仕事は?」
『ちょっと大事な話あるから、一緒に来て欲しい』
『行っておいで』
七海に背中を押され、照彦の車に乗ると直ぐに走り出した。
『ごめんな、急に…』
「ねぇ、別れるとかじゃないよね?…」
『離婚が決まったんだ。待たせてごめんな、彩が陽菜に会いたいって、じゃないと別れないって言うから』
「…なんだか、怖いな…」
『ごめんな、陽菜。でも、俺は陽菜を手放すこと出来ないから…』
照彦は陽菜を落ち着かせる様に頭を撫でた。