〜薄暗い日々〜短編 オムニバス
翌日、亭主と子供達を送り出すと、典子は休みをゆっくりしていた。
一週間ぶりの午後のTVのワイドショーを眺めていた。
芸能ニュースから報道局にニュースが切り替わった。
ニュースの内容に思わずギョッとした。
〜報道局からニュースをお伝えします。
昨夜、足立区の主婦、増田あけみ容疑者22歳が、寝ている夫をめった刺しに殺害、自らも自殺を謀るという、凄惨な事件が起こりました…。〜
(足立区の増田あけみ〜?!)
昨夜のコールセンターでの大クレーマーだったお陰で名前と住まいをインプットしてしまっていた。
「いやいや、同姓同名ってこともある。」
その時、携帯のメール着信音がなったので、びっくりする。
相手はコールセンターの仲のよい同僚である。
『今日、お休みでよかったよ〜。忙しくて大変だったんだから〜。』
そんな出だしで始まった。
典子の返信の後、再び同僚からメールが届く。
『そういえば、クレーム対応していた人達が、みんな今日大騒ぎするんだよ。対応してるとPCを誰かが覗き込むんだって。変な話〜SVじゃないって言ったんだけど。』
(そういえば、昨日木下さんも覗いてたよな)
夕方、洗濯物を取り込んでいると、携帯が鳴った。
「松田さん?」
声の主はメールの同僚だった。
「どうしたの?」
尋常でない話なのか、同僚は声が上擦っている。
「あなた、木下さんに昨日トイレで会ったって…言ったわよね…。」
「調子悪そうだったけど、確かに会ったわ。コール中も私のPC覗きに来たし。」
電話の向こうでしばらく同僚は沈黙していた。
「私、今日聞いちゃたのよ…。SVと課長達が話してる内容…。改修前のトイレで…一ヶ月前、新人の木下さんが一番奥の個室で首を吊ったんだって…。信じられる?!」
同僚はそのまま泣き崩れた。
典子はゆっくり携帯を切った。
翌日、再び、不可解な殺人や自殺がTVで報道された。
その事件と顧客の接点はわからない。
しかし、クレームを受ける度、覗き込む影に怯えるオペレーターが激増し、このビルのコールセンターは、一ヶ月後閉鎖となった。
世間の凶悪な心中や殺人騒ぎは、なくなったが、このビルの女子トイレの怖い噂は残っているようだ。
一週間ぶりの午後のTVのワイドショーを眺めていた。
芸能ニュースから報道局にニュースが切り替わった。
ニュースの内容に思わずギョッとした。
〜報道局からニュースをお伝えします。
昨夜、足立区の主婦、増田あけみ容疑者22歳が、寝ている夫をめった刺しに殺害、自らも自殺を謀るという、凄惨な事件が起こりました…。〜
(足立区の増田あけみ〜?!)
昨夜のコールセンターでの大クレーマーだったお陰で名前と住まいをインプットしてしまっていた。
「いやいや、同姓同名ってこともある。」
その時、携帯のメール着信音がなったので、びっくりする。
相手はコールセンターの仲のよい同僚である。
『今日、お休みでよかったよ〜。忙しくて大変だったんだから〜。』
そんな出だしで始まった。
典子の返信の後、再び同僚からメールが届く。
『そういえば、クレーム対応していた人達が、みんな今日大騒ぎするんだよ。対応してるとPCを誰かが覗き込むんだって。変な話〜SVじゃないって言ったんだけど。』
(そういえば、昨日木下さんも覗いてたよな)
夕方、洗濯物を取り込んでいると、携帯が鳴った。
「松田さん?」
声の主はメールの同僚だった。
「どうしたの?」
尋常でない話なのか、同僚は声が上擦っている。
「あなた、木下さんに昨日トイレで会ったって…言ったわよね…。」
「調子悪そうだったけど、確かに会ったわ。コール中も私のPC覗きに来たし。」
電話の向こうでしばらく同僚は沈黙していた。
「私、今日聞いちゃたのよ…。SVと課長達が話してる内容…。改修前のトイレで…一ヶ月前、新人の木下さんが一番奥の個室で首を吊ったんだって…。信じられる?!」
同僚はそのまま泣き崩れた。
典子はゆっくり携帯を切った。
翌日、再び、不可解な殺人や自殺がTVで報道された。
その事件と顧客の接点はわからない。
しかし、クレームを受ける度、覗き込む影に怯えるオペレーターが激増し、このビルのコールセンターは、一ヶ月後閉鎖となった。
世間の凶悪な心中や殺人騒ぎは、なくなったが、このビルの女子トイレの怖い噂は残っているようだ。