〜薄暗い日々〜短編 オムニバス
「忍の様子がおかしい」
夫にそう言わせてしまうほど、最近の忍は挙動不審である。
朝、起きれなくなっただけではなく、真夜中に奇声を上げる事もある。
完璧に家事を熟していただけに、現在の家の惨状は酷いものだった。
「お受験の後遺症かしら?」
義母は冷たく言い放つ。
娘の早紀は母親を避けるようになった。
夫は忍を無視して、早紀と一緒に実家に度々滞在するようななっていた。
自宅に戻る度、忍は段々おかしくなっていったからだ。
部屋の隅でガタガタ震えていたかと思うと、違う日は、部屋中のものを投げつけていたり、酷い時は包丁を持ったまま、一点を見つめている。
もちろん、夫はなんどか宥めたり、殴りつけたこともあるが、一行に収まる気配がない。
当の本人の忍は毎日毎日、場所や時間に関係なく、あの汚い男の子が目の前に現れる。
恐怖の為、散々逃げ回っていたが、ある時、相手は子供、殺してやるという、攻撃的な抵抗を始めた。
その行動が周囲には、気の触れた言動にしか見えない。
忍の最愛の娘でさえ、自分に近づかなくなった。
いつの間にか、側にいるのは、黒目の無くなったあの汚い男の子である。
やがて、TVでその男の子の両親の裁判が始まった頃、忍は家族の手によって精神を患う病院に、強制入院をさせられていた。
拘束着を着せられている忍の目の前には、いつも黒目のない汚い男の子がいた。
「アタシのせいじゃない…。悪いのはあんたの両親じゃない!アタシのせいじゃない…。悪いのはあんたの両親!」
まるで、お題目のように言い続ける。
忍の精神は完全に崩壊していた。
夫にそう言わせてしまうほど、最近の忍は挙動不審である。
朝、起きれなくなっただけではなく、真夜中に奇声を上げる事もある。
完璧に家事を熟していただけに、現在の家の惨状は酷いものだった。
「お受験の後遺症かしら?」
義母は冷たく言い放つ。
娘の早紀は母親を避けるようになった。
夫は忍を無視して、早紀と一緒に実家に度々滞在するようななっていた。
自宅に戻る度、忍は段々おかしくなっていったからだ。
部屋の隅でガタガタ震えていたかと思うと、違う日は、部屋中のものを投げつけていたり、酷い時は包丁を持ったまま、一点を見つめている。
もちろん、夫はなんどか宥めたり、殴りつけたこともあるが、一行に収まる気配がない。
当の本人の忍は毎日毎日、場所や時間に関係なく、あの汚い男の子が目の前に現れる。
恐怖の為、散々逃げ回っていたが、ある時、相手は子供、殺してやるという、攻撃的な抵抗を始めた。
その行動が周囲には、気の触れた言動にしか見えない。
忍の最愛の娘でさえ、自分に近づかなくなった。
いつの間にか、側にいるのは、黒目の無くなったあの汚い男の子である。
やがて、TVでその男の子の両親の裁判が始まった頃、忍は家族の手によって精神を患う病院に、強制入院をさせられていた。
拘束着を着せられている忍の目の前には、いつも黒目のない汚い男の子がいた。
「アタシのせいじゃない…。悪いのはあんたの両親じゃない!アタシのせいじゃない…。悪いのはあんたの両親!」
まるで、お題目のように言い続ける。
忍の精神は完全に崩壊していた。