星月夜

 かといって、これといった害もなかったので何となくそのままにしている。

《さあ。まあ、いいんじゃない?》

 そう返信すると、美羽は焦れたようなメッセージを送ってきた。

《キモくない? ストーカーとかじゃないといいけど……。》

《それはないよ、多分。いざって時は悟に助けてもらうし(笑)》

《ノンキだな〜。そういうのって男が絡むとよけい揉めるよ。》

《そうなったらその時考えるよ。そろそろ昼休み終わるから、またね。》

《わかった、がんばれ! ウチも昼ご飯にするかな。》


 美羽らしい心配だなと思った。結婚して今は落ち着いたけど、学生時代の彼女は恋多き女子だった。

 惚れた惚れられたのトラブルにもよく巻き込まれ、交際相手がストーカー化してしまったこともある。その逆パターンもしかり。

 大丈夫。私には無縁の話だ。


 それに、心配してくれている美羽には言いにくいけど『星月夜』という名前に惹かれるものがある。なんだかきれいだ。

 何かされたわけでもないし、だったら放置が一番。
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