星月夜
プラネタリウムがどんなものかは分かっていたので、この課外活動にさほど重要性を感じなかった。
昔よく行った。星の好きなお母さんに連れられ、お父さんと三人で。
子供の頃はそれが楽しくてはしゃいでいたのに、いつしか慣れてしまい、きれいと思うこともなくなっていた。
だからこの時もたいしたことないだろうと思い座席に身を預けたんだった。
隣の秀星が小声で言った。
「オリオン座、見えるかな?」
「さあ。冬の星座ならあるんじゃない? でも、今春だし冬の星座はやらないと思う」
私があの頃と同じことを言うと、諦めていないような顔で秀星は天井を見つめていた。
キラキラした目。期待したような彼の横顔を見ていたらこっちまで楽しくなった。
秀星は星を見るのが好きだった。
天井を見つめつつ、時折秀星の方を視界の隅で意識した。
「アレこいぬ座! カシオペア座もある。冬の星座だ、これ……!」
心底嬉しそうに話す秀星。油断したら声のボリューム調整が出来なさそうなほどに。