星月夜

「で、どうしてそんなことが起きたの? 俺も真似してみたい」

「……分からないよ。気付いたらこの時代に戻ってた」

「何してたらそうなったの?」

「会社から帰って疲れて……!」

 そうだ。秀星の結婚報道を見て打ちひしがれていた直後、この世界に来ていた。

「分からないけど、とにかく、私はこれから先10年の間に起きることを知ってる。美羽が彼氏に振られるってことも……」

「ふーん。25歳でタイムスリップか。その謎の方が個人的には気になる」

「それは私も気になるけど、今は美羽の彼氏を思いとどまらせたいの!」

「そういうのって、月海が判断すること? 美羽の人生でしょ」

「分からないけど、美羽が悲しむの分かってて見過ごすことなんてできない。現に今日も悩んでた。知輝だけなの、こんなこと話せるの……。美羽の彼氏に直談判しにいくからついてきてほしい!」

 美羽に誘われて、彼氏の高校には一度行ったことがあるので、一人でも行ける。

 必死な私に反し、知輝は憎たらしいくらい冷静だった。

「そういうことなら俺はパス。協力はできない」

「何で!?」

「だって、今の彼氏と別れることでより良い出会いがあるかもしれないし。美羽の人生がどうなってるか知らないけど、月海は25歳の美羽を知ってるんでしょ?」

「それは、まあ……」
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