星月夜
「月海って不思議。今年知り合ったばかりなのに昔からの知り合いみたい」
「そ、そうかな?」
「こんなに気が合う女子、今まで周りにいなかった」
「私もだよ」
会話を楽しみつつ、ドキドキした。どんなつもりでそんなことを言ってくるんだろう?
秀星だけど、秀星じゃないみたい。今夜は少し大人に見える。一緒に美羽の彼氏の学校へ行って色んな話をしたからかな?
それとも、昔は意識しなかった気持ちを自覚したことで物事の受け取り方も変わっているのかな?
八十八夜に、春の空気が優しく香る。
一緒に食べたお好み焼きはとてもおいしかった。帰り道には星を見て歩いた。
秀星が弾いている今の課題曲、ヴェートーベンの月光第一楽章のメロディーを思い出した。月の綺麗な夜だった。
八十八夜(終)