星月夜
明らかに過去とは変わりつつある現実に、秀星の意味深なセリフに、胸の鼓動が速くなる。
ドキドキと心音が高鳴るところへ、始業のチャイムが鳴った。体が飛び跳ねそうになるのを必死に我慢した。
「じゃ、また放課後な。って、授業中も一緒だけど」
「だね。ははっ」
気のせい? 秀星の目があの頃より優しい気がする。
もしかしたら、本当にこのまま私の望んだように未来を書き換えられるかもしれない。
そう思うと、途端に不安が押し寄せた。
いつの間にか過去に戻っていた。その原理が分からない以上、再び元の時間に戻されるってこともあり得るかもしれない! そんなの嫌だ!
秀星と別れる〝現在〟になんて戻りたくない!
知輝も知りたがっていたけど、私が過去へやってきたのにはそれなりの原因や法則があるはずだーー! それを見つけないと!
気ばかり焦るけど、現状、何をどうしたら、どこを探したらタイムスリップのヒントが得られるのか、分からない。
もう一度、知輝に相談してみようーー!
昼休み、お母さんが作ってくれたお弁当を大急ぎで食べ、知輝を中庭に呼び出した。
「同じ教室にいるのにわざわざメールするなんて、よほどのことだよね」
「話が早くて助かるよ。この前の話の続きなんだけどさ。こんなこと相談できるの知輝しかいないから」
「未来から来たってやつ?」
「そう」