御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
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その夜は、少し眠りが浅かった。
バッグの中にしまっていたスマホのバイブレーションに目を覚まし、そっと雪成の腕の中から抜け出した美月は、スマホを持って階下に降りる。
「もしもし……」
『ごめん、もう寝てたか』
声の主はしのぶだった。
ローテーブルの上に置いてある、発光するタイプの時計を見ると、深夜の一時だ。
「寝てたけど大丈夫。ウトウトしてただけだから」
『そっか……』
「久しぶりだね。この時間にしのぶちゃんと話すの」
『だな』
しのぶは大学を卒業後、実家の後継として毎日忙しく働いているので、数年前からはこの時間がしのぶとの時間になっていた。