御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
確かにしのぶのいうとおり、今度は違った意味で美月の噂が一人歩きするだろう。
もちろん“八年も付き合った滉一にフラれた可哀想な美月”よりうんとマシではあるが、“老舗【KOTAKA】の副社長と付き合っている美月”というのも、なかなかスキャンダラスに違いない。
「でも玉の輿は……ありえないよ」
むしろ東京に帰るまでの関係である。
『はぁ? まさか美月、お前遊ばれてんじゃねぇだろうな。もしそうだったら、相手の男、ライバル社の羽毛布団です巻にして鳴門の海に沈めてやる』
鼻息も荒く危なっかしいことを言うしのぶに、美月は慌てて否定した。
「そっ、そんなことないよ、とても優しいし、私の気持ちをいつも先回りして考えてくれてるの……。面倒見がいいっていうか、本当に心が広い人なんだと思う……」
そうでなければ、こんな面倒ごとに進んで巻き込まれたりはしないだろう。
(だから、たくさんの嘘に付き合わせたお詫びに、東京に帰ったら、誠心誠意、お仕事で恩返ししよう……。私にできることはそれくらいだもん。)