御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
それから他愛もない会話をして「近いうちに東京で会おう」と約束し、十五分ほどで電話を切る。
美月はスマホを手に持ったまま、ぼんやりとウッドデッキに仰向けになり、空を見上げた。
満天の星が美しい、そのまま吸い込まれそうな夜空である。
(こんな風に星を見てると、人間なんてちっぽけだって思い知らされちゃうなぁ……。)
三ヶ月前は本気に死にたいと思っていた。
滉一のいない人生なんて考えられなかった。
もちろん今でも、顔を見れば苦しいし、泣きたくなるのは変わらないのだが、三ヶ月前よりはずっと、心は落ち着きを取り戻していた。
(こんな風に空を見上げられるようになったのも、雪成さんのおかげだ……。来週からまた心を入れ替えてお仕事頑張らないと。)