御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
「それは……クビ、ということなのでしょうか……」
頭が真っ白になる。
「……」
雪成は無言でまっすぐ前を向いていた。
その精悍な横顔は作り物のように端正で、美しいからこそ、余計に現実味がなく、美月は激しく混乱した。
「……あのっ」
美月は手を伸ばし、彼のナイトガウンの胸元をつかんでいた。
「私、絶対にご迷惑かけませんから……!」
秘書のくせに、安易に上司である副社長と体を重ねた自分が悪い。それはわかっている。
しかも雪成は老舗の【KOTAKA】の御曹司である。
だが美月は、東京に戻った後は、自分が黙っていれば済む話だと思っていたのだ。
秘書の仕事を失うということを、まったく予想していなかった。