御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
美月は自分がとてもつまらない人間だと、改めて思い知らされた気がした。
(だから、雪成さんは私を、可愛がりたいなんて言うんだろうか……。菜穂さんは自分の手元から遠くに飛んで行ってしまったから、その代わりに……。)
自分は元カノの代わりという思いつきは、美月をひどく打ちのめしたが、同時に納得もさせた。
(つまらない女だから滉一君にフラれたのに、つまらない女だから雪成さんに拾われたんだ……。でも、これでやっと納得できる理由が見つかった。よかった……。これで思い上がったりすることはなくなった。)
期待をすればその期待が裏切られた時にひどく傷つく。
だったら最初から期待しなければいい。
執着するから思い通りにならないと苦しむのだ。
(やっぱりマンションの契約は残しておかなくちゃ……。あと、仕事も……いつクビになってもいいように、引き継ぎで困らないようにちゃんとしておかなきゃ。)