御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
そうやって現実的なことを考えていれば、多少は気は紛れる。
「私に話したってこと、雪成さんには言わないでくださいね」
「えっ……」
「ここだけの話です。もう忘れてください」
美月はニッコリと笑顔を作り、それから空いたグラスをテーブルの上に置いた。
もちろん強がっていても、美月の頭の中は真っ白だった。ただこの場をやり過ごすために、無になっているだけである。
それでも強がらなければいけない。美月にとって、今はそんな時間だった。
「いや、みっちゃん。そうは言うけど……」
ハジメが困ったように美月に近づき、顔を覗き込むと同時に、
「シャンパンでいい?」
と、一人の男がボトル片手に美月に声をかけてきた。
「ありがとうございます」