御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
「同じ高校です」
「えー、すごい偶然だな! 母は大学から東京に出てきたんだけど、祖父母が住んでるから、たまに帰ってる。東京に出てきたらって何度も誘ってるんだけど、やっぱり生まれ故郷を離れる気にはならないみたいだ」
そして良輔は美月の顔を覗き込む。
「美月さんも、やっぱり故郷に帰りたいって思う?」
「……いえ。三カ月前に東京に出てきたばかりなので、今はまだそれほど」
それほどどころか、当分帰る気はないのだが、良輔にそんな話をする必要はない。
「いつか案内してって言ったら、困る?」
ハジメに釘を刺されたはずだが、良輔は特に気にしていないようだった。
「東京の男の人は優しいけど、女性を口説くのがマナーみたいになっているのは、どうかと思いますよ」
美月は笑って首を振った。
「いやいや、それは偏見だ」
「そうでしょうか」
「そうだな。きっと美月さんの周りの男が悪い。まぁ主にハジメとかハジメとか……ハジメとか」