御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
デッキには十人くらいの男女が、スピーカーから流れる音楽をBGMに、お喋りをしている。
太陽の光にキラキラと光る海面は美しい。
眩しさに目を細めながら、美月は風で帽子が飛ばされては大変と、片手で押さえつつ、良輔に掴まれている手を引いた。
「ダメですよ」
「じゃあタイタニックごっこでもする?」
「しません」
「それもダメか」
それからアハハと笑う良輔に悪びれた様子は微塵もない。
こういう天真爛漫さや無邪気なところは、愛されて育った人ならではのものだ。
自分にもこんな時期があったはずなのだが、今はとても信じられない。
ほんの少し、羨ましいとさえ思う。
「そんなに雪成のことが好き?」
良輔は優しげな、穏やかな眼差しで美月の隣に並び、海を見つめる。
「え?」
「え、じゃなくて。好きなのかってこと」
「……あの」