御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
「ユキがみっちゃん拭いてるの見てると、なーんかデジャビュあるなー」
「デジャビュ?」
美月が問いかけると、
「あ、あれだ。子供のとき拾った猫だ〜」
と、笑い始める。
「小学生の時にさ、うちの別荘の敷地に子猫が捨てられてて、夏の間、俺たち子供だけで面倒見たんだよ」
「あっ、その話、懐かしい〜!」
そこに菜穂がひょっこりと顔を出し、ハジメの持つトレイからマグカップを取り、雪成に差し出した。
「はい、ユキ」
「置いといてくれ。あとで飲む」
「私が飲ませてあげようか?」
いたずらっぽく笑う菜穂に、ハジメが
「菜穂、熱々コーヒーを直に飲ませるって、罰ゲームじゃん。ユキにそうやってからむのやめなさい」
と、肩をすくめつつ、美月にもカップを差し出した。
「ありがとうございます……。で、その子猫はどうなったんですか?」
「別荘の管理人さんに頼んで、あちこちにもらわれていったよ」
「そうなんですか……よかった」