御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
彼女からしたら、失恋して泣いてばかりの自分は、さぞかし愚かな女に映るだろう。
(穴があったら入りたいって、きっとこういう気持ちを言うんだろうな……。)
受け取ったコーヒーをぼんやりと眺めていると、
「お前、猫舌だったか」
雪成が目を細める。
「え……?」
「ぼーっとコーヒー眺めてるだろう。冷めるのを待ってるのか」
「あ……はい、そうですね。猫舌な方です」
菜穂の言葉に凹んでいたのだが、猫舌なのも嘘ではない。
「ふぅん」
雪成は一瞬何か言いたげに目を細めたが、何を思ったのか、それからフーッと美月のおでこのあたりに息を吹きかけた。