御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
当然、前髪がふわふわと浮かび上がって、くすぐったいことこの上ない。
「なっ、なんですかっ⁉︎」
「冷ましてやろうと思って」
「私の前髪を?」
「フーッ」
「やっ、やめっ、くすぐったいですっ……」
なんとも絶妙な力加減で吹かれるので、美月は逃げようと身をよじるのだが、雪成は妙に真面目な表情で、美月の肩を掴み引き寄せる。
「逃げるな」
「そんなっ、じゃあ吹くのやめっ、きゃっ、だめっ、コーヒーこぼれますっ!」
コーヒーをこぼさないよう必死な美月だったが、結局
「はい、みっちゃんからかうのそこまでね〜」
と、ハジメが間に入ってことなきを得た。
「もうっ……」
むくれながらコーヒーを飲む美月に、雪成はクックッと肩を揺らしながら顔を近づける。
そして頬に指を滑らせ、ささやいた。