御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~

 雪成はうなずき、グラグラと揺れる菜穂の体をすくうように抱きかかえ、玄関へと向かった。

 後部座席に置いたままの菜穂のバッグをつかみ、美月も慌てて後を追いかける。


「お嬢さま!」


 割烹着姿のふっくらした女性が、雪成に抱きかかえられた菜穂を見て、飛び上がらんばかりに驚く。


「野上さん、落ち着いてください。部屋で休ませないと」
「まぁ、雪成さま! はい、わかりました! 誰か、奥にお布団を! あと久原先生をお呼びして!」



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 ハジメと美月は、別室の奥座敷に通された。


「久しぶりにヒヤッとしたよ……」


 湯呑みを持ったまま、ハジメがポツリとつぶやいた。


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