御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
「あいたっ……!」
膝から落ちて後頭部を打ち付けたハジメは、頭をさすりながら上半身を起こす。
「みっちゃん泣きそうな顔してるからさぁ……慰めてあげようかと思ったんだよ」
泣きそうな顔をしている女の膝に頭を乗せることが、なぜ慰めることになるのかわからなかったが、これもハジメ流の一つなのかもしれない。
「ええっ……あの、ありがとう、ございます……?」
つい、お礼を言ってしまった。
「どういたしまして」
ハジメは乱れた髪を手ぐしでなおしながら、あぐらをかく。
「とりあえずユキとはちゃんと話したほうがいいよ。黙ってても状況は良くならない」
「……はい」
当然のことを言われて、美月は落ち込んだが、情けないことに、話して状況が悪化することもあるから悩んでいるのだとは言えなかった。
そしてハジメが庭に面した長い廊下の方を振り返る。
「ユキ!」