御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~

 雪成が戻ってきたのだ。


「すまん、待たせたな……」


 かすかに疲労の色を残し座敷に入ってきた雪成は、立ち上がっている美月とハジメを不思議そうに見比べる。


「なにやってんだ」
「膝枕してもらおうとしたら転がされちゃって」
「おい……」


 ハジメの言葉に雪成は不機嫌そうに眉を寄せる。
 だがハジメはどこ吹く風だ。


「待たせすぎのユキが悪いんだろ〜。いったいなにしてたんだよ。よっぽどみっちゃん連れて帰ろうかと思ったよ」
「なにって……菜穂の……家族と話をしていただけだ」


 珍しく、雪成にしては歯切れの悪い答えだった。


「あっそ……」


 それ以上追求する気はないのか、ハジメはため息をつきながら立ち上がり、美月を振り返る。



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