御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
(あれ……転んでない……痛くない……。)
「大丈夫か」
「……え?」
おそるおそる目を開けて、顔を上げると、副社長の精悍な顔が目の前にあった。
広い胸とたくましい腕に支えられて、美月は転ばずに済んだらしい。
そこでようやく、副社長が受け止めてくれたと、気が付いた。
「あ、あっ……すっ、すみませんっ!」
美月の顔がこれ以上なく真っ赤に染まる。
(恥ずかしい……! 秘書っぽくタイトスカートとか考えた自分が恥ずかしい!)
「明日からはタイトスカートやめます! すみません!」
動揺のあまり、そんなことを叫んでいた。
その瞬間である。
副社長が、突然美月から手を離し、
「ククッ……」
ひきつるように体を震わせた。
そして仰け反りながら、
「ハハハ!」
と、笑い始めたのである。