御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
「せっ、背伸びっ……なんだ、それは、頼むからもう、笑わせないでくれっ……アハハハッ!」
また激しく笑われてしまった。
(笑われてる……。)
「かさねがさね、申し訳ございません……」
転びかけたりおかしな発言をしたり、まだなんの仕事もしていないのに、謝りっぱなしである。
だが副社長は首を振った。
「謝らなくていい。おかげで俺も緊張の糸が緩んだよ」
「緊張……?」
(なぜ雇用する側の副社長が緊張するんだろう。)
美月が首をかしげると、
「森田くん……君は背伸びなど、しなくていい。君らしく働いて、俺を助けてくれたらいい」
と、副社長はまっすぐに美月を見つめ、そして優しく微笑む。
「はい、頑張ります!」
恥ずかしい失敗を笑って受け止めてくれる上司のことを、この瞬間、美月はとても好ましく思った。
(長く働けたら、いいな……。ううん、働きたい。副社長を支える立場になりたい。)
本気でそう思ったのだ……。