御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
「おばさん、ご無沙汰しています」
清水家のリビングで、しのぶの母親に声をかけると、
「あらっ、美月ちゃん!」
エプロン姿のしのぶの母は、飲んでいた紅茶のカップを置き、嬉しそうに美月に近づいてきた。
「今日久しぶりに泊まっていくって聞いたけど、おじさん出張でいないのよ〜。きっと残念がるわねぇ」
「おっさんは美月が大好きだからな〜」
しのぶはクククッと笑いながら、冷蔵庫からあれこれとつまみになりそうなものを取り出す。
「“娘の嫁に”とかアホなことずっと言ってたし……。あ、イカの一夜干しあるな。これ焼いて食おう」
「フライパン出すね〜」
美月も慣れたものである。ガスコンロにフライパンを乗せて、イカの一夜干しを焼く。
「そういえば、確か中学校くらいから、しのぶの嫁になれって言われてたよね」
「んなこと言ったって、美月にも選ぶ権利はあるよなぁ」