御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~

 しのぶは苦笑しながら冷蔵庫からハムやチーズを取り出し、皿に並べる。


「でも、しのぶちゃん。昔から男子よりカッコいいから……」


 だからというわけでもないが、美月はずっと男の子に興味がなかったのだ。

 滉一に出会うまでは……。


 学生時代の思い出は、いつだってキラキラしている。そしてその思い出の中には、当然滉一もいるのである。
 美月の心は、当然チクリと痛みを覚えた。


「……よし、今晩は久しぶりに私のイケメンロミオ文化祭のDVD観るか?」
「ならお母さんも一緒に飲んじゃおうっかな!」


 一瞬、顔が曇った美月を励まそうとしたのか、清水家の母娘が明るい声を出す。

(私ったら、まだ心配かけてるんだ……。)

 そのことに気づいた美月は、ハッとして、それから笑顔を作った。


「……うん、観たい!」


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