御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~

「相手はもちろん、東京から戻ってきたばかりの翠子だった。街でいきなり声かけられて、そのまま飲みに行って……流れでなんとなく……。美月に不満があったわけじゃない。このままいつか、美月と結婚するんだろうなぁって思ってた。だけど、その日、仕事でちょっと失敗して……翠子に昔、好きだったなんて言われて……今思えばバカみたいだけど、自信を取り戻したかったんだ……。もちろん酔いが覚めてから、ヤバイと思ったけど、美月と別れる気なんてサラサラなかった。だけど十二月に入ってから、翠子から連絡あって“妊娠した”っていわれて、目の前が真っ青になった。自業自得なんだけど、美月に嫌われると思った……」


(私に嫌われると思った……?)


 滉一の告白に頭がクラクラする。


「だから、私のこと、振ったの? ずっと前から愛情がなかったなんて、言ったの?」


 そんなことで自分は傷ついて、いっそ消えて無くなりたいとさえ思っていたのか……。


「……軽蔑されるくらいなら、俺からさよならしたほうがよかった。美月に好かれたままでいたかった……」


 美月は言葉がない。
 おまけに翠子の妊娠である。


(加藤さんに赤ちゃんが……?)


 だが先日会った翠子は、相変わらずほっそりして高いヒールを履いていなかっただろうか。



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