御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
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「……そんなに、あの人が……好きなのか」
「そうよ。先がない片思いだけど……」
美月はスン、と鼻を鳴らして唇をかみしめる。
散々泣いて喚いて、それから二人はまたベンチに並んで腰を下ろしていた。
「……片思いって……あれで?」
嘘だろ、と滉一は目を細めつつ、自分のハンカチを美月に手渡した。
「返せないよ……」
「使ったら捨てていいから」
「じゃあ貰う……」
美月は滉一のハンカチで涙を拭き、そしてハァ、とため息をついた。
そんな美月を見て、滉一は言葉を選びながらポツリとつぶやく。
「あのさ……俺が言えた口じゃないかもしれないけど、美月は最悪の事態を先回りして考えて、答えを出してしまうところがあるだろ?」
「……それは、よく、言われるけど……」