御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
基本、自己評価が低く、後ろ向きな性格をしているのである。
それは周囲からよく指摘を受けることで、よくわかっていた。
わかってはいるが、だからどうしたら生きやすくなるのかなんて想像もつかないまま、気がつけばこんなことになっている。
「そうだ。覚えてるか、あー、そうだ、俺が告白した時にさ……“何かの罰ゲーム? そういうの体育会系の男子の中で流行ってるって聞いたけど……よくないと思う”って……真面目な顔して言うから。俺、膝から崩れ落ちたよな」
ハハ、と滉一は笑う。
「……そう、だったね」
つられて美月も笑っていた。
滉一は人気のある男子だった。
男子とほとんど会話をしない美月は、挨拶くらいしか滉一と言葉を交わしたことがなかった。
だから告白された時はからかわれたとしか思わなかったのだ。
「信じてもらうのにひと月かかった。毎朝美月の家まで迎えに行って、夜は毎晩電話した」
「……それでも、私は滉一くんが意地になってるんだって思ってた」
美月の言葉に、滉一は微笑む。