御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~

「みっちゃん免許は?」
「持ってないです」
「えっ、そうなんだ。持ってないと困らない?」
「私自身はとくに困ったって思ったことはないです」
「なるほど。さては周囲の男子がいくらでも車出してくれるんだな。まぁ俺だってみっちゃんに呼ばれたら飛んでいくけども」


 相変わらず心にもないことをペラペラと話すハジメであるが、美月はそんなハジメの軽口を不愉快には思わない。
 サービス精神のある人だなぁと感心するだけである。


 間も無くして従業員の女性が、銀色のトレイにフルーツが乗ったアイスティを二つ運んで持ってきた。


「わぁ、きれいですね!」


 琥珀色のアイスティーに、カラフルなフルーツと南国の花が飾られている。目にも美しい飲み物だ。


「いただきます……あ、美味しい。水分足りなかったんだなぁって、今気づきました」
「水分、足らなかった?」
「はい。バレてると思いますが、たくさん泣いちゃって……」


 恥ずかしさをごまかすように、えへへと笑う。



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