御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~

 考えてみれば泣くだけ泣いてそれっきりだったのだ。
 ストローをくわえて、一気に半分ほど飲み干してしまった。


「……みっちゃんさぁ、それ“無自覚”だよね?」


 そんな美月を見て、ハジメは苦笑する。


「え?」
「ふだんはクールビューティーぽいのに、急に子供みたいに笑って可愛くなるの、わざとじゃないよね?」
「ええっ……?」


 クールビューティーだのなんだの、単語の意味は置いといたとしても、お世辞を超えた何かを感じて、美月の頬が赤く染まった。

 思わず持っていたグラスをテーブルの上に置いてうつむいてしまう。


「何の意味もないってわかってても、どきどきしちゃうな……構いたくなる。いけない子だね」


 ハジメは声を抑え、美月の顔を覗き込む。


「ーーところでユキと話した?」



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