御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~

「えっ⁉︎ 雪成さんとは……その……」


 ハジメのこういうところに、美月はどきりとする。
 自分の魅力をよくわかっていて、いったん油断させて切り込んでくる。誤魔化せなくなってしまう。


“ユキと話し合うように”


 菜穂の屋敷から帰る直前に、ハジメにそう言われたことは当然覚えていた。

 だが結局、美月の思う通りにことは進まなかったのだ。


「話そうと、思ったんですけど……」


 しゅん、と声が小さくなる美月だが、
「思ったんですけど?」
ハジメは追及の手を緩めない。

 仕方なく、美月は正直に、腹の底に澱のようにたまっているモヤモヤしたものを、吐き出した。


「ーームカついて」
「……え?」


 美月の口から“ムカついた”という単語が出たことに驚いたのか、ハジメが目をパチパチさせる。


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