御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
軽薄なノリについ普段は忘れがちになるのだが、ハジメはかなりのイケメン美男子なのである。
たとえそういう風に見てなかったとしても、こうやって迫られれば、美月を怯ませるほどの魅力は十分にあるのだ。
「あ、あの、山邑さんっ……」
「なぁに?」
「ちっ、ちか、近すぎますよ⁉︎」
「そうだねぇ。みっちゃんが逃げるからさぁ……仕方ないよね」
(のらりくらりのくせして、強引だわ……!)
美月は涙目になりながら、ハジメを見上げる。
「たしかに、山邑さんは、すごく素敵な人ですけど、でも、だっ、ダメですっ!」
「なんで?」
そしてハジメは、美月の髪を指ですき、頬を撫でる。まるで猫でも可愛がるかのように、スリスリと。
「俺、素敵なんでしょ。男なんてみんな一緒だよ。ユキに代わりができたんなら、俺でもいいじゃない」
ハジメの言葉に、美月は叫んでいた。
「代わりっ……代わりじゃダメなんです! 私、誰の代わりでもなく、雪成さんが好きなんですっ! だからごめんなさい、たとえ雪成さんに振られても、山邑さんを代わりにはできないし、遊び相手にもなれませんっ!!!」