御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
「雪成さん、あの、出張で来られたんですか?」
手を掴まれたまま、美月が問いかけると、
「そうだ」
と、一言。
ふわふわと浮き足立っていた心が、沈みそうになる。
(そっか……やっぱり仕事で来たんだ……。)
彼がハジメの執務室に姿を現した時、美月は雪成が迎えに来てくれたのだと思ってしまったのだ。
(だけどそんなはずないよね。そんなことする理由もないし……。)
しゅんとうつむく美月だが、
「……お前は何度俺に、職権乱用させれば気がすむんだ?」
頭上から、雪成のため息交じりの声が響いた。
「……え?」
(職権乱用?)
おそるおそる顔を上げると同時に、美月の後頭部と腰に雪成の手が回り、体がぐっと近づいた。
「……好きだ」
「えっ……」
「好きだ。ずっと好きだった。どうしてもお前を手に入れたかった……どうしてもっ……」
燃えるような熱い瞳で、雪成は美月を見つめ、そして目を丸くする美月の答えを待たずに、強引に口付ける。