御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~

「……美月、好きだ」


 低い声で雪成がささやく。


「……っ……」


 その言葉が嬉しくて、美月は腕を伸ばし雪成の背中に腕を回した。


「私も好きです……嬉しいです……だから本当に、嬉しいです……幸せです」


 美月の目からポロポロと涙がこぼれる。


「やっとわかった。いくら心の中でお前を好きだと思っても、聞いてもらわなければただの独り言で……お前の心を掴むことなんて、できないってことに」


 雪成は美月の頬の涙を指でそっとぬぐい、まぶたにキスをする。そして決意したように、口を開いた。


「……俺の話を聞いてくれるか?」


 漆黒の瞳はまっすぐに、美月を見つめている。


(何を言われてもいい……。ちゃんと現実を受け止める。)


「はい」


 美月はしっかりとうなずいた。


< 259 / 323 >

この作品をシェア

pagetop