御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~

 迎えに来たハジメが借りているマンションで、酒のつまみ程度に飲みながら“傘を貸してくれた女”の話をすると、ハジメはひどく面白がって、すぐにスマホで会社の名前を調べ始めた。


「あー、地元優良企業だね。いいねぇ、社内恋愛かな」
「かもな」
「傘を持って行けば会えるかも。俺も見たい」
「会ってどうするんだよ。人の女じゃないか」
「でも別れてるかもしれないじゃん」


 ハジメは目に力を込めてグラスをカウンターの上に置く。


「……俺があの男なら別れない」
「まぁね……見ず知らずの男が困ってると思って傘を差し出すなんてね。しかもそれ、ユキとまた会いたいとかいうセコイ作戦じゃなくて、ただの親切なんだろ? そして笑顔に邪気がないしっとり系美人とか……。サイコーじゃん……俺が付き合いたい。マジで」


 そしてハジメは、
「俺がモテないのはずっと一人でいるユキのせい。みんなまずユキを狙うから、俺なんか二の次なんだ」
などと言いがかりをつけ始め、散々絡んだあげく、ソファーで寝てしまった。

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