御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
「もう少し時間かかるかもしれないですね……」
本社の副社長であり営業本部長である雪成を緊張した様子で見つめるのは、現地営業所の社員の若い男だった。
「私は構わないよ。むしろまだかかりそうだし、君は車の中で休むといい。正直言って、その顔、酷いよ。寝不足なんだろう?」
「はい、実は……ちょっと張り切りすぎまして」
「やっぱりな」
疲れ顔の営業部員を、雪成は笑って車に戻らせる。呼ばれたら携帯で呼び出すことにした。
それからやってきた、あと三十分はかかりそうだと、恐縮する女性社員に「大丈夫ですよ」と告げる。
その女性社員の後ろを、階段を降りてきた女性が通り過ぎたのだが、ふと、何かに気づいたように立ち止まった。