御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~

 それは今日のお昼に、菜穂から雪成にあてたメッセージだった。


「手術……入院? あの……雪成さんが私用って言ってたのは、このことなんですか?」


 雪成は小さくうなずいた。


「この半年くらい、菜穂からよりを戻してくれって無理難題を言われてた。いつものワガママだろうと相手にしなかったが、ちょっとエキセントリックなところがあるからな。ハジメ主催のパーティも、だから行きたくなかったんだ。でも本当は、心臓の手術をするために帰国したんだって……菜穂本人から船の上で聞いて、驚いた」


(船の上……。)


 美月の胸がチリッと焦げる。思わず責める口調になった。


「……キス」
「え?」
「船の上でキスしてたの、見ました」


 思えばあそこから美月の気持ちは急降下で転がり落ちたのだ。


「……不意打ちで」
「……」
「すまん」


 雪成は、ここまで自分の心をさらけ出してくれたのである。

 不意打ちだという彼の言葉を疑っているわけではない。


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